コンタクトレンズと眼鏡

コンタクトレンズと眼鏡

私たちが物を見るとき、外から目に入った光は、角膜や水晶体によって屈折します。網膜にピントを合わせ、はっきりと物を見るためです。この光の屈折がうまくいかず、網膜より手前にピントが合うものが「近視」、網膜より後ろにピントが合うものが「遠視」です。どちらも網膜にピントが合わないため、物がぼやけて見えます。また、主に角膜のカーブの垂直方向と水平方向の違いで、屈折が強い部分と弱い部分ができ、物が二重に見えたりするのが「乱視」です。

コンタクトレンズの種類

コンタクトレンズは、硬い素材でつくられる「ハードレンズ」と、柔らかい素材でつくられる「ソフトレンズ」の2つに大別されます。

ハードレンズ ソフトレンズ

ハードレンズの特徴と種類

ハードレンズは、角膜より小さく、まばたきしたり、眼球を動かすと、角膜上で動きます。ソフトレンズに比べると、装用感にやや難点がありますが、物の見え方はくっきりしています。ハードレンズは、レンズの寿命がくるまで1~2年間使う「従来型」が一般的です。装用方法は、朝起きて装用し、就寝前に外す「終日装用」が中心ですが、就寝中も含め、30日間連続で装用する「連続装用」もあります。

ソフトレンズの特徴と種類

ソフトレンズは、角膜よりやや大きく、角膜全体を覆うため、あまり動きません。ハードレンズに比べると物の見え方はくっきりしませんが、装用感はハードレンズより優れています。ソフトレンズには、外したら捨てる「使い捨て型」、毎日レンズのケアを続けながら2週間ごとに交換する「頻回交換型」、1か月間でレンズを交換する「定期交換型」があります。使い捨て型には、毎日外して捨てる「1日使い捨て型」が主流です。ソフトレンズでは、1~2年間使う「従来型」は少なくなっています。

「装用したり外したり」を繰り返すレンズにはケアが必要ですが、「1日使い捨て型」は、ケアが不要で、いつでも清潔なレンズを使えるのが利点です。安全性は高く旅行などにも便利ですし、常にスペアをもつことになるため、スポーツ中などに紛失しても、慌てずに済みますが、費用はかさみます。「使い捨て型」は、外したレンズを再装用せず、必ず捨てることが大切です。

レンズの酸素透過性と新素材「シリコーンハイドロゲルソフトレンズ」

角膜には、細胞に酸素を供給する血管がなく、角膜の細胞は、その表面を覆う涙液から酸素を取り入れています。涙液中の酸素は、空気中から溶け込んだものです。コンタクトレンズを装用しているときも、角膜には酸素が供給される必要があります。多くのレンズには、酸素を通す働き(酸素透過性)があり、空気中の酸素がレンズを経て、角膜とレンズの間の涙液に達し、その酸素を角膜が取り入れます。

ハードレンズの場合は、サイズが小さく、よく動くため、酸素は、レンズ経由のほか、直接涙液に溶け込んで角膜に供給されます。しかし、ソフトレンズの場合は、すっぽりと角膜が覆われるため、レンズを経ずに酸素が涙液に溶け込むことは少なく、酸素の供給は、レンズの酸素透過性に依存しています。そのため、角膜への酸素の供給は、ソフトレンズよりハードレンズのほうが優れていますが、最近は、酸素透過性の高いソフトレンズの素材「シリコーンハイドロゲル」も開発されています。この素材のレンズでは、ハードレンズと同じ程度に酸素が供給されます。

特殊なコンタクトレンズ

コンタクトレンズには老眼用の遠近両用コンタクトレンズ、乱視用のコンタクトレンズ、おしゃれ用の彩色されたカラーコンタクトレンズなど特殊なコンタクトレンズもあります。

コンタクトレンズの注意点

日本のコンタクトレンズ使用者は、1800万人から2000万人に達すると推定され、全国民の13%以上、ほぼ7人に1人がコンタクトレンズを利用しています。日本眼科医会の調査報告によれば、コンタクトレンズ関連受診患者さんの中で、眼障害で受診した患者さんの割合はここ数年約4%でした。

主な障害としては、角膜上皮障害、角膜感染症、角膜内皮障害、アレルギー性結膜炎などがあります。

目の障害を防ぐポイント

コンタクトレンズによる目の障害を防ぐポイントには、以下のことが重要です。

適切な処方

まず眼科を受診し、自分の目に合ったレンズを処方してもらうことが大切です。眼科医は、屈折検査、視力検査、眼圧検査、角膜内皮細胞検査、細隙灯顕微鏡検査などの検査をして患者様の目の状態、コンタクトレンズの経験の有無、生活スタイルなどから、適切なレンズの処方や使い方の指導を行います。

無理のない使用

決められたルールを守って、無理のない使用を心がけましょう。装用時間を守ることは大切ですが、異常を感じたら、装用時間内でもすぐにレンズを外してください。レンズを外してしばらくたっても異常がなくならない場合は、眼科を受診してください。いつコンタクトレンズを外しても困らないように、予備の眼鏡を常に携帯することを習慣にしましょう。

正しいレンズケア

レンズに合ったケアを行います。

定期検査

症状が現れない障害もありますので、自覚症状がなくても、定期検査は必ず受けてください。