眼精疲労

眼精疲労

眼精疲労とは

眼精疲労と〝疲れ目″は同じものだと思われがちですが、実は異なります。疲れ目は一時的なもので、休息や睡眠をとれば自然に回復し、体への悪影響もほとんどありません。

一方、眼精疲労は、目の疲れだけでなく体の別の部位にも影響を及ぼし、慢性的に頭痛や肩こりなどの症状が現れることもあり、休息や睡眠では回復しません。眼精疲労の多くは、目の筋肉の疲労、すなわち目の筋肉の、こりが原因です。眼精疲労に関係するおもな目の筋肉として毛様体筋があります。毛様体筋は、目の中にある水晶体の厚みを変えるときに使われる筋肉で、遠くを見るときは、毛様体筋がリラックスして水晶体を薄くし、近くを見るときは、毛様体筋が緊張して水晶体を厚くして、ピントを調節しています。何らかの原因で、毛様体筋の緊張が続くと、筋肉の疲労から眼精疲労の原因になります。

眼精疲労の原因と対策

毛様体筋の疲労の原因としては、「長時間の手元の作業」「暗い所での手元の作業」「遠視」「度の強すぎる眼鏡の使用」などがあります。

長時間の手元の作業

正視、あるいは眼鏡で矯正している近視の場合、パソコン作業や読書などで近くを見続けると、毛様体筋は緊張し続けています。10〜15分間程度なら問題ありませんが、作業が1〜2時間以上も続く場合には注意が必要です。さらに、パソコンやスマートフォンを不自然な姿勢見続けると、首の筋肉も疲労するため、眼精疲労の症状がさらに強くなります。対策としては、1時間に1〜2回、窓の外の遠くの景色などを見て、毛様体筋をリラックスさせるとよいでしょう。同時に、首の運動や背伸びなどをすることも勧められます。

暗い所での手元の作業

よく「暗い所で読書をすると目が悪くなる」といわれますが、正確には、視力が落ちるわけではなく、眼精疲労を起こしやすくなります。光を取り入れる働きをしている瞳孔(瞳)は、明るい所では小さく、暗い所では大きくなります。小さいときはピントを合わせやすく、大きくなるとピントを合わせにくくなります。暗い所で読書をすると、瞳孔は多くの光を取り入れようと大きくなるため、ピントを合わせにくくなり、毛様体筋に通常以上に負担がかかり、眼精疲労が起こりやすくなります。対策としては、読書などは明るい所で行うようにしましょう。

度の強すぎる眼鏡の使用

近視の場合、凹レンズの眼鏡やコンタクトレンズを使って視力を矯正します。その際、眼鏡の度が強すぎても(過矯正眼鏡)、遠くはよく見えるので、不適正と気付かず使い続ける場合があります。すると、毛様体筋は遠くを見るときもピントを合わせるために緊張し、近くを見るときにはさらに緊張し、遠視と同じような状態になり、気付かないうちに眼精疲労を起こしている場合があります。対策としては、適正な度数の眼鏡に変更することが挙げられます。それにより、遠くを見るときに毛様体筋がリラックスできます。

現在、眼鏡を使っていて、眼精疲労の症状があるようでしたら、眼科でその眼鏡の度数が適正かどうかをチェックしてもらってください。

そのほかの対策

ビタミンB12には、筋肉の疲労を和らげる効果があるので、眼科医でビタミンを含む目薬や、のむタイプのビタミン剤を処方してもらってもよいでしょう。